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Special Reports
特別レポート

欧州におけるテロの最新動向とウクライナ戦争の影響

2023年6月26日

欧州, テロ

 欧州刑事警察機構(ユーロポール)はテロ情勢に関する年次報告書で、EU域内で昨年発生したテロ(未遂、未然阻止を含む)が前年比55.5%増の28件で、それによる死者は2人から4人に増加したと発表した。
 件数増加は極左・無政府主義関連のテロが原因で、イスラム過激派関連のテロは前年からほぼ半減し、極右関連のテロも減少している。
 昨年勃発したウクライナ戦争には様々な国籍の外国人戦闘員が戦闘に参加しているが、ユーロポールは「これまでのところテロ組織がウクライナ戦争に関与しているとの情報は確認されていない」として、同戦争が欧州のテロ情勢に与える影響は小さいとの見方を示した。

シリアのアラブ連盟復帰をめぐる地域諸国の動向

2023年5月2日

シリア, 中東地域, 国際紛争

 シリアのアサド政権は2011年の「アラブの春」弾圧とその後の虐殺で国際的孤立を深めたが、アラブ諸国は最近になってシリアとの国交正常化に向けた動きを加速させている。5月に予定されているアラブ連盟首脳会議の主要議題はシリアの連盟復帰と目されている。
 シリアのアラブ世界への復帰は、内戦終結と復興支援の加速、地域の安定化への道を開く可能性が高い半面、地域のパワーバランスを変化させて新たな火種を生む可能性も懸念される。

3宗教祝祭期間中の情勢悪化で高まる治安リスク

2023年4月7日

イスラエル, テロ, 大衆運動, 地域紛争

 3月下旬から4月末にかけて宗教的な重要祝祭期間が重なる中、5日にエルサレムの「神殿の丘」で発生したパレスチナ人とイスラエル治安部隊との衝突は、レバノンとガザ地区からのロケット弾攻撃にまで発展した。
 昨年来ヨルダン川西岸地区を中心に緊張が高まっている状況の中、情勢がさらに悪化し、多数の死傷者を出した2021年5月の大規模戦闘と同様の事態に発展するおそれがあることに加え、祝祭期間終了後もパレスチナ側の反イスラエル感情を刺激するイベントが控えており、イスラエル国内のみならず、世界各国でテロのリスクが高まることも危惧される。

反スパイ法改正で懸念が強まる不当拘束リスク

2023年3月28日

中国, 法規制

 中国全国人民代表大会常務委員会は昨年12月に「反スパイ法」を強化する修訂草案(改正案)を公開した。同案は今年上半期のうちに採択・施行される見込みである。
 今年3月中旬頃に北京市で邦人幹部駐在員が拘束された事案も含め、2014年に反スパイ法が施行されて以降に中国当局に拘束された邦人は17人に上る。今回の改正や中国をめぐる情勢悪化などにより、恣意的な拘束のリスクのさらなる上昇が懸念される。

サウジアラビア、イラン国交正常化と地域への影響

2023年3月14日

国際紛争, 中東地域

 サウジアラビアとイランは3月10日、中国の仲介により7年ぶりに国交を正常化することに合意した。これまで中東地域で代理戦争を繰り返してきた両国の和解は、地域情勢の安定化に繋がることが期待されている。
 ただし、両国の対立は宗教・文化や体制の違いなどに深く根差しており、様々な対立要因がこれで解消するとは考え難い。米国やイスラエルの動向も今後の情勢を左右しかねず、国交が力強く維持されるかどうかは未だ不透明である。

治安当局に公然と挑戦する麻薬組織

2023年2月21日

メキシコ, 犯罪組織

 メキシコでは昨年、全国の殺人発生件数が前年比で減少したが、依然として麻薬組織間の抗争や治安当局との激しい銃撃戦などが多発している。
 今年は元日から麻薬組織が刑務所を襲撃して幹部を奪還したほか、主要麻薬組織の首領エル・チャポの息子の逮捕に伴う騒乱も発生するなど、麻薬組織が政府や治安当局に公然と挑戦する事態が続発している。

極右の勢力拡大・尖鋭化と治安への影響

2023年1月4日

ドイツ, テロ

 ドイツで昨年12月7日、「ライヒスビュルガー(帝国臣民)」のメンバーら25人がクーデター未遂の容疑により逮捕された。現政府の正統性を認めない同勢力は同4月にも閣僚誘拐などを計画していた。
 その他にも極右によるテロや暴行事件が同国各地で多発しているほか、軍や治安機関内への極右の浸透も問題視されている。
 ドイツのみならず、欧州各国では極右政党の台頭やインフレによる社会不安、中国におけるCOVID-19の感染拡大等を背景に極右過激派の活動が一層強まっており、邦人を含むアジア系にも攻撃の矛先を向けかねない。

ヌエボレオン州で殺人増、休暇中の侵入盗にも注意

2022年12月20日

メキシコ, 犯罪

 北東部ヌエボレオン州では、「北東カルテル(CDN)」をはじめとする有力麻薬組織間の縄張り争いに加え、地元の麻薬密売組織が連合を組んで麻薬組織に抵抗したことで抗争が激化しているほか、取締りに当たる治安部隊と麻薬組織の武装グループとの間の銃撃戦も続発している。
 クリスマスシーズンから年末年始にかけては、侵入盗をはじめとする一般犯罪のリスクも高まるため、各種犯罪対策の再点検をお勧めする。

殺人・強盗の銃器使用率上昇、都市部の治安深刻化

2022年11月4日

米国, 犯罪

 米連邦捜査局(FBI)の2021年版「全米犯罪統計」によると、暴力犯罪の発生件数は前年比1.8%減、財産犯罪は同3.8%減であった。罪種別では殺人が4.3%、強制性交が3.4%、車両盗が12.3%それぞれ増加し、中でも殺人は3年連続、車両盗は2年連続で増加した。また、殺人における銃器使用率は79.9%、強盗では43.8%であった。
 人口50万人以上の26都市のうち、16都市では殺人発生率(人口10万人当たりの年間発生件数)が前年から上昇したほか、12都市では全米平均(6.9件)の2倍以上の発生率を記録した。
 今年も凄惨な銃乱射事件が各地で続発し、治安悪化が懸念されている。

コロナ禍前よりも治安悪化、強盗・誘拐多発

2022年11月1日

南アフリカ共和国, 犯罪

 南アフリカでは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策の緩和に伴って犯罪が増加に転じ、一部の罪種はコロナ禍前の件数を上回っている。
 計画停電に乗じた侵入盗や、停電に伴う渋滞で警察の現場到着が遅れるなどの問題が指摘されている。
 首都プレトリアや最大都市ヨハネスブルグを擁するハウテン州を中心に、「ブルーライト・ロバリー」と呼ばれる警察官を装う手口の強盗が続発しているほか、西部のケープタウンでは外国人誘拐も相次いでいるので、邦人企業関係者は各種犯罪対策を再確認する必要がある。

ロシアによる大量破壊兵器使用の可能性と影響

2022年10月6日

ウクライナ, ウクライナ周辺国, 戦争

 ロシアは9月21日に予備役の部分動員令を発令したのに続いて、10月4日にはウクライナの東部・南部4州を一方的に“併合”した。これらはウクライナにおける戦況の立て直しを図るための方策であり、当分は通常戦を続けると見られるが、それで劣勢を変えられなければ、化学兵器などの大量破壊兵器の使用に踏み切るおそれがある。
 ウクライナに継戦を断念させるため、核兵器や原子力発電所破壊などのより破滅的な軍事攻撃が行われる可能性も排除し得ない。周辺国への放射性物質拡散のリスクは徐々に現実味を増している。

社会経済状況の不安定化がもたらすテロの脅威

2022年8月18日

欧州, テロ

 欧州刑事警察機構(ユーロポール)はテロ情勢に関する年次報告書で、欧州連合(EU)域内で昨年発生したテロ(未遂、当局による未然阻止を含む)が前年比73.7%減の15件、死者は90.5%減の2人だったと発表した。
 テロ活動容疑の逮捕者数については、イスラム過激派関連は前年とほぼ変わらなかったものの、極右関連の方は大幅に増加した。
 テロの件数や死者数は減少したものの、EUが物価高騰をはじめ様々な社会的要因に直面する中で、テロ情勢は再び悪化に転じる可能性が高い。

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