
Global Risk Reports
国際情勢レポート

湾岸諸国, 国際対立
サウジ・UAEの同盟内摩擦とイエメン分断の固定化
2026年1月6日
サウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)は、かつて共闘していた対イエメン政策をめぐり対立を深めている。昨年12月初旬には、UAEが支援する分離独立派「南部移行評議会(STC)」傘下の武装勢力が同国東部のハドラマウト州を制圧し、これに対してサウジアラビアは東部の町ムカッラを空爆して牽制した。
イエメンと自国との国境地帯の安定を優先するサウジと、海上物流拠点の確保を狙うUAEとの摩擦は今後も継続が見込まれ、それによってイエメン国内の分断が固定化されかねない。

ギニア, 国内対立
クーデター後初の大統領・議会選挙に 伴うリスク
2025年12月17日
ギニアでは、2021年の軍事クーデター後初の大統領・議会選挙の投開票が12月28日(日)に予定されている。主要野党の候補者が排除される中、暫定大統領であるドゥンブヤ氏の勝利が確実視されている。同氏は憲法改正や制度改革を通じて政権基盤を強化し、中国の経済関与を背景に軍政の長期化を図ってきた。
国内では経済低迷に伴う貧困層の不満が燻る中、選挙前後の情勢不安定化が懸念される。周辺国では選挙後にクーデターが発生しており、ギニアでも一定の警戒が必要である。

米国, 犯罪
銃乱射事件の現状と対策
2025年12月16日
米国疾病管理センター(CDC)の統計(最新確定値)によれば、米国における2023年の銃による年間の推定死者数は4万6,728人で、殺人事件のうち銃を使用した事件は79%、銃による自殺は自殺全体の57%であった。
米連邦捜査局(FBI)によれば、米国では2020年~2024年の5年間で223件の銃乱射事件を記録し、新型コロナウイルスのパンデミック発生前の5年間(2015年〜2019年)と比較して70%も増加している。

中国, 国際対立
対日圧力の強化と邦人の拘束リスク
2025年12月12日
中国政府は台湾有事をめぐる高市総理の国会答弁に強く反発し、軍事、経済、外交、法律など広範な領域で対日圧力を強めている。とりわけ反スパイ法を含む法執行の動向は、邦人の拘束リスクの上昇に繋がる。これまでに邦人を含む多数の外国人が同法違反などを理由に拘束されており、邦人企業関係者は法令違反に問われないための慎重な行動が求められる。
来る12月13日の「南京大虐殺死難者国家公祭日」の前後は、日本への圧力や反発が高まりやすい点にも注意が必要である。

欧州諸国, 国際紛争
欧州で相次ぐドローン飛来や破壊工作事案
2025年12月10日
欧州諸国に9月以降、ロシアが関与していると見られるドローン(無人機)が相次いで飛来し、空港の一時閉鎖や戦闘機出動などの対応を余儀なくされている。
EUおよびNATOは欧州全体の防衛体制の強化を進めているが、ドローン対策の困難さに加えて各国の対ロシア姿勢は一致しておらず、未だ効果的な対策を打ち出せないでいる。
欧州では破壊工作と見られるインフラ施設爆破なども続発しており、人的被害や社会・経済的混乱が拡大する可能性も懸念されている。

コンゴ民主共和国, 犯罪
キンシャサに跳梁する若年犯罪集団「クルナ」
2025年12月10日
首都キンシャサでは、「クルナ」と呼ばれる若者の犯罪集団による強盗、殺人、車両襲撃などが相次いでおり、これまで比較的安全とされてきた高級エリアのゴンベ区を含む市中心部をも脅かしつつある。
警察は取締りを強化しているものの、貧困問題などを背景にクルナの勢力は衰えず、むしろ拡大しているとも言われている。
クリスマスや年末年始に向けて侵入盗など各種犯罪のリスクが高まる中、自宅や事務所等の警備態勢や防犯対策の再確認が不可欠である。

メキシコ, 犯罪
最近のメキシコシティの犯罪発生状況
2025年11月25日
首都メキシコシティの治安は近年改善傾向にあるが、複数の麻薬組織が活動しており、市中心部のテピート地区一帯では抗争や恐喝絡みと見られる殺人事件が多発している。
邦人居住地域でも殺人や強盗などの凶悪犯罪が度々発生しているほか、国際空港からの追跡強盗なども続発しており、特に犯罪リスクが上昇するクリスマス・年末年始シーズンには警戒心を一層高める必要がある。

インド, パキスタン, テロ, 国際紛争
デリーの車両爆弾テロと印パ衝突再発のリスク
2025年11月21日
インドの首都デリ ーで11月10日に発生した車両爆弾テロは、カシミール地方出身のイスラム教徒の医師による犯行であった。同人を含む高学歴者らのテログループは一斉摘発され、彼らがデリーなどで同時多発爆弾テロを企てていたほか、パキスタン系イスラム過激組織と繋がっていたことも判明した。
同事件を受けて、インドは5月に続いて今回も必ずパキスタン領への報復軍事行動に出ると見る必要がある。その時期は12月以降、または新年に入ってからになる可能性があり、それによる民間航空路線などへの影響が懸念される。

中国, 国際対立
日中の関係悪化と邦人の安全への影響
2025年11月19日
台湾有事に関する高市総理の国 会答弁を切っ掛けに中国政府の対日姿勢が硬化し、日本への渡航自粛を呼びかけるなど人的交流の抑制を強めている。そうした「号令」に呼応して中国における対日感情が悪化し、邦人への嫌がらせや暴力行為が再び相次ぐ事態が懸念される。
1937年の南京事件に関する12月13日の「国家哀悼日」の前後は反日感情が特に高まりやすいほか、年末年始から来年2月の春節(旧正月)にかけては困窮者が増える時期でもあり、自暴自棄になった者による衝動的暴力も警戒する必要がある。

インド, 犯罪
注意を要する都市部の治安悪化傾向
2025年10月22日
最近発表されたインドの全国犯罪統計(2023年版)によると、同国では各種犯罪が全国的に増加 しており、特に大都市ではその傾向が強い。
邦人企業の進出数が多い都市については、ムンバイやチェンナイは治安が改善傾向にあるものの、それ以外の都市では屋外窃盗や侵入盗などの増加が目立ち、中でもハイデラバードとベンガルールは件数が急増している。
国内における爆薬や爆発装置の押収量も増えており、それらが不特定多数を巻き込むような爆弾テロに再び使用される可能性も懸念される。

カメルーン, 国内対立, テロ
長期政権下で高まる不安定化リスク
2025年10月10日
カメルーンで10月12日(日)に投票が行われる大統領選挙では、野党陣営が最有力候補の排除や候補一本化の失敗により精彩を欠くなどして、40年以上政権を維持する現職のポール・ビヤ大統領(92歳)の8選が確実視されている。
一方、分離独立問題を抱える西部の英語圏では選挙ボイコットが続いているほか、北部地域では国軍とイスラム武装勢力の衝突が激化している。
ビヤ政権は盤石と見られるものの、今後、健康問題と後継者問題が表面化した場合は、後継者争いに加え、混乱に乗じた分離独立派やイスラム武装勢力の伸長などにより、情勢の不安定化が危惧される。

コートジボワール, 国内対立, テロ
野党不在の大統領選挙で高まる各種リスク
2025年10月6日
コートジボワールでは10月25日投開票の大統領選挙を前に、憲法評議会が野党候補を選挙から軒並み排除したことにより、アラサン・ワタラ大統領の4選が確実視されている。これに対して野党勢力は反発を強めており、最大都市アビジャンなどで大規模デモや暴動の発生が懸念される。
SNS上では選挙を前に社会不安を煽るフェイクニュースも急増している。
選挙期間中は、北部で発生しているイスラム過激派によるテロが都市部へ波及するおそれもあるほか、国軍内の対立や処遇への不満を背景とする軍内部の混乱やクーデターなどといったリスクにも注意する必要がある。