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島の上空からの眺め

Global Risk Reports
国際情勢レポート

インド, 大衆運動, テロ

再燃が懸念される暴力的宗教対立

2023年8月24日

 7月末、首都デリー南西郊のハリヤナ州ヌー県でヒンズー教徒とイスラム教徒の衝突が暴動に発展し、7人が死亡、200人以上が負傷した。
 デリーで9月初旬に開催されるG20首脳会議を控えた時期だけに、インド政府は迅速に対応して比較的短期間のうちに鎮圧したが、両教徒の対立は根深く、今後の大型選挙での求心力を高めたい思惑なども絡んで衝突の再発が画策されるおそれがある。9月下旬からヒンズー教の祝祭シーズンに突入することもあって、当分は要注意の時期が続く。

モルドバ, 国内対立

EU加盟や統一をめぐって敵対する親欧米派と親ロ派

2023年8月23日

 モルドバでは親欧米派と親ロシア派の比率が拮抗しており、EU加盟を目指すサンドゥ政権はロシア外交官の多くを国内から追放する一方で、8月27日の独立記念日に向けて愛国心を奨励するなどして脱ロシアの気運を高めようとしている。
 EU加盟の障害となっているのが親ロ派に支配されている「沿ドニエストル共和国」および同地域に駐留するロシア軍であり、サンドゥ政権は解決策として(1) 国民生活向上による親欧米派の拡大、(2) 武力による沿ドニエストル統一、(3) 沿ドニエストルを除外してのEU加盟、などを検討しているが、どれを選択したとしてもロシアの妨害工作は避け難い。

ベネズエラ, 犯罪

米ドルの流通拡大で危惧される誘拐の増加

2023年8月17日

 ベネズエラでは、経済危機により多数の犯罪者を含む国民700万人以上が近隣諸国へ脱出したことなどを背景に、近年は殺人が激減傾向にある。
 一方で、米ドルの流通拡大に伴って昨年は誘拐事件がほぼ倍増したと見られており、今年に入ってからもカラカス首都圏をはじめ各地で誘拐が続発している。2020年のパンデミック突入以降、脱出先各国の経済悪化で困窮した国民に帰国の動きが見られる中で、殺人、誘拐、カージャックなどの凶悪犯罪が今後急増するおそれがある。

レバノン, イスラエル, 国際紛争

国境地帯の緊張化に伴う衝突激化のリスク

2023年8月2日

 イスラエルとレバノンの国境地帯で、レバノンのシーア派組織ヒズボラによる活動が活発化している。イスラエルはヒズボラによる度重なる挑発行為を「国連安保理決議違反」と抗議しており、対するヒズボラはイスラエル軍が進める国境への壁の建設について、「未画定の陸上国境を既成事実化する試み」と非難している。
 ヒズボラは今後もイスラエル国内の混乱などに乗じて国境地帯で活動を強める可能性が高く、一層の緊張の高まりが懸念される。

国際紛争, 朝鮮半島

米韓演習に向けて高まる軍事的緊張と備え

2023年7月25日

 北朝鮮の金正恩総書記は、7月12日(水)に新型大陸間弾道ミサイルの発射を現地指導した際、「米帝が敵視政策を断念する時まで、より強力な軍事的攻勢を連続的にかけていく」と対決姿勢を鮮明に示した。実際に米海軍の弾道ミサイル搭載原子力潜水艦の寄港の翌日に変則軌道の弾道ミサイルを発射したり、長距離巡航ミサイルを発射するなど活発な動きを見せている。
 これに対して、米国は黄海や日本海側で警戒監視活動を強化しており、8月中旬からは米韓合同軍事演習も予定している。北朝鮮は軍事演習や韓国の保守政権の強硬姿勢への反発を強め、挑発行動を一層激化させる可能性が高い。

テロ, コンゴ民主共和国

有力候補者の拮抗で情勢悪化が懸念される大統領選

2023年7月21日

 コンゴ民主共和国では、今年12月20日(水)実施予定の大統領・下院議会・州議会・コミューン議会の各選挙準備が進められている一方で、2期目を狙うチセケディ大統領は野党勢力に対する弾圧を強めている。
 首都キンシャサで現在続発している選挙関連の抗議デモは数百人規模であるが、生活費の高騰などで不満を高めている市民らが合流して拡大した場合、前回(2018年)の選挙時のように治安部隊との衝突などで多数の死傷者が出る事態に発展する可能性もある。

国内対立, コロンビア

政府と各武装組織の和平交渉の現状と見通し

2023年7月21日

 昨年8月に就任した元反政府ゲリラで左派のグスタボ・ペトロ大統領は、「完全なる平和(パス・トタル)」を実現する方針を掲げ、左翼ゲリラやその残党のみならず、有力犯罪組織との和平交渉を模索する姿勢を打ち出している。
 年初からは政府と4つの武装組織との間で半年間の停戦が実現した結果、テロは目立って減少したが、停戦違反行為等が少なからず発生した。
 一方、政府と同国最後の左翼ゲリラ「民族解放軍(ELN)」は和平交渉を断続的に実施しており、今年8月3日からは一時停戦を開始する予定であるが、既にELNの一部が指導部の方針に従わないことを表明している。

地域紛争, アフリカ諸国

ワグネルの反乱がアフリカ諸国にもたらす波紋

2023年7月5日

 ロシアの民間軍事会社ワグネルの創設者プリゴジン氏による反乱は2日間で決着したものの、同氏および企業の今後の処遇については未だ不透明であり、一部では組織解体も取り沙汰されている。
 ワグネルはアフリカ地域を重視するロシア政府の方針に基づいて各国に部隊派遣から天然資源の採掘といった経済活動まで広範な活動を展開しており、今回の反乱はそれらの国々の治安にも影響を及ぼしかねない。

ブラジル, 犯罪

リオ州をはじめ南東部諸州で殺人が増加

2023年6月28日

 現地主要メディアの集計によると、ブラジルにおける今年第1四半期の殺人件数は前年同期比0.7%減と3年連続で減少したが、全26州・首都連邦区のうち半数以上で増加し、特に北部アマパー州では87%増と激増したほか、経済の中心である南東部の各州でも増加した。
 リオデジャネイロ州では、犯罪組織対「ミリシア」の抗争激化により殺人が約16%増加しており、同州都圏のファベーラにおける警察の取締作戦の急増と相まって、市西部では市民の流れ弾被害が倍増している。

トルコ, テロ

新たな越境掃討作戦開始で危惧される報復攻撃

2023年6月26日

 トルコではテロ事件が再び増加に転じており、昨年は161人が死傷した。
 今年に入ってからも南東部や南部で治安部隊を狙ったテロが続発しているほか、都市部でもテロリストが相次ぎ摘発されている。
 エルドアン大統領は今年5月、隣国シリア・イラクのクルド人武装組織などへの越境掃討作戦を継続し、新たな軍事作戦も間もなく開始すると発表した。これに対して「クルド労働者党(PKK)」の関連組織も一方的停戦の終了と攻撃再開を宣言しており、国境付近で戦闘やテロが続発する中で、トルコの都市部においても報復テロの再発が危惧される。

インド, テロ

9月のG20サミットに向けて懸念される過激派の動向

2023年6月20日

 インド治安当局は、9月初旬に首都デリーで開催されるG20サミットや関連会合の安全を確保するため、全国各地で過激派の摘発を強化している。
 これまでのところ、各関連会合は無事に開催されているが、インド政府の権威失墜を狙うテロが企図される可能性は否定できない。万一重大テロが発生した場合は、過激なアジテーションやヘイトスピーチに扇動された大衆による暴動の勃発にも警戒する必要がある。

カンボジア, 国内対立

権力の世襲を見据えた下院選に向け一層強まる弾圧

2023年6月16日

 カンボジアで7月23日(日)投開票予定の下院総選挙を前に、最大野党「キャンドルライト党(CP)」が選挙から排除され、CP党員・関係者への暴行や傷害も急増するなど、政権による政治的弾圧が強まっている。
 これを受けて欧州委員会は、同国への特恵関税措置制度「武器以外の全て(EBA)」の一部停止措置の拡大を検討している。経済制裁などによって景気が悪化すれば、強権体制を維持する現政権への不満が再び強まり、2013年の総選挙後のように反政府デモの気運が高まる可能性も否定できない。

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